国際金本位制下の貿易で起きること

国際金本位制下の貿易で起きること

かつての国際金本位制下においては、黒字になった国は、正貨流入←金融緩和←金利低下←資金流出が起こるか、または、物価騰貴←貿易赤字化←正貨流出が起こり、赤字国には以上と逆の作用が起き、これによって自律的に調整せられる仕組みであった。そして各国はこの自律作用の動きを、人為的に阻止するような措置をとってはならぬ、というのが基本的ルールであった。

 

 

金本位制が崩壊し、管理通貨制となり、戦後ドルを基軸とするIMFの現体制が発達したが、この体制下においても、各国の国際収支の調整につき、新体制に即した国際協調のルールが当然必要である。

 

ところで右につき、国際収支の赤字国については、為替平価を守るため、財政金融政策に所要の引締め政策をとるべき義務のあることは広く一般に認められている。しかし黒字国の義務については、つい最近までもハッキリした認識が、むしろ欠けていた。

 

これは、終戦当時アメリカが大きな黒宇国であり、かつ巨額の正貨を擁していたので、そうした黒字国の任務を一手にになって、巨額の資金の流出をまかなっていたからである。ところが、そのアメリカが国際収支の連年の赤字で、準備正貨量の最小限度を脅かされることになり、これまでのような任務を十分に果たしえなくなった。

 

去る四二年一一月のポンド切下げ以降における国際通貨不安の勃発は、基本的には、右の結果であるといって大過ないであろう。ここにおいて、新たにクローズ・アップされた問題は、現に国際収支の大きな黒字国に対する節度、という強い国際的要求の台頭である。